フリーランスや自営業者だと自分で納める必要のある国民年金。銀行振込や口座振替だけでなく、クレジットカードでも納付できることをご存知でしょうか?
さらに、国民年金には前もって保険料を納付すると割引いてくれる「前納」という制度もあります。クレジットカードのポイント還元と前納を組み合わせると、実質の納付額が約1.8万円も安くなるのです。
しかし、最大限の還元を受けるには、お得になる仕組みを理解し、注意点を押さえておく必要があります。
そこで本記事では、国民年金をクレジットカードで納付するとお得になる理由やメリット、注意点を解説します。
ぜひこの記事を参考に、国民年金の納付額をお得にしましょう。
国民年金の納付はクレジットカードで前納がお得な理由2つ

国民年金をクレジットカードで前納するとお得になる理由は以下の2つです。
- 前納で保険料が安くなる
- 納付額に応じてポイントがつく
クレジットカードで前納したときの割引額と還元されるポイントを以下にまとめました。
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
---|---|---|---|
割引額 (ポイント還元) | ▲810円 (+995ポイント) | ▲3,530円 (+1,990ポイント) | ▲14,540円 (+3,973ポイント) |
※上記はすべて令和4年度の納付額をもとに計算
※国民年金の支払いで1%還元されるクレジットカードで計算
※参照:日本年金機構・国民年金保険料の「2年前納」制度
他の支払い方法と比較しながら、詳しく見ていきましょう。
理由その1:前納割引制度で保険料が安くなる
年金には一定の期間分を前払いすると保険料が安くなる「前納割引制度」があります。割引額に差が出るのは前納する期間と納付方法です。
期間は以下の3つから選択します。
- 6か月
- 1年
- 2年
さらに、納付方法による違いを組み合わせると以下のようになります。
クレジットカード・現金の割引額 | 口座振替の割引額 | 割引率の差 | |
---|---|---|---|
6か月前納 | 810円(0.8%OFF) | 1,130円(1.1%OFF) | 0.3% |
1年前納 | 3,530円(1.8%OFF) | 4,170円(2.1%OFF) | 0.3% |
2年前納 | 14,540円(3.7%OFF) | 15,790円(4.0%OFF) | 0.3% |
※令和4年度に納める場合の保険料で計算
※参照:日本年金機構・国民年金保険料の「2年前納」制度
上の表だけをみると、クレジットカードよりも口座振替のほうがお得に見えますよね。しかし、還元率0.4%以上であれば、クレジットカードのほうがお得です。
このように、前払い制度である前納と高還元率のクレジットカードを組み合わせることで支払う年金額を抑えられます。
理由その2:クレジットカードで納付するとポイントがつく
還元されるポイントが1%のクレジットカードなら、付与されるポイントは次のとおりです。
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
---|---|---|---|
ポイント還元(1%) | 995ポイント | 1,990ポイント | 3,973ポイント |
1ポイント=1円で利用できるのであれば、最大で約4,000円分の現金が還元されるのとほとんど同じですね。
クレジットカードによる支払いで得られるポイントは無視できないでしょう。
クレジットカードで国民年金を前納する注意点5つ

クレジットカードで国民年金を前納するときの注意点は下記の5つです。
- 初回のみ事前に申し込む必要がある
- 利用限度額が納付額より小さいと立替納付してもらえない
- クレジットカードの引落日に残高不足だと延滞金が発生する
- 2年前納するかは次年度の収入を考慮して判断する
- 国民年金前納によるポイント還元率がカード会社で異なる
詳しく解説します。
注意点その1:初回のみ事前に申し込む必要がある
クレジットカードで国民年金を前納するのであれば、初回のみ事前に申し込む必要があります。
なお、事前の申し込み期限は、2月末までです。申請書に必要事項を記入して、お近くの年金事務所に持ち込むか郵送しましょう。
申請書の一覧はこちらの「国民年金関係届書・申請書一覧」でチェックしてみてください。
注意点その2:利用限度額が納付額より小さいと立替納付してもらえない
利用限度額が納付額より小さいと、クレジットカード会社に立替納付してもらえません。
立替納付できない場合、対象期間は現金納付に切り替わってしまいます。これだとクレジットカードでの納付ができず、ポイント還元を受けられません。
クレジットカードの納付月と有効性が確認される日を以下にまとめているので、必ずチェックしておいてくださいね。
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
---|---|---|---|
納付月 | 4月と10月 | 毎年4月 | 2年おきの4月 |
カード有効性確認日 | ・月初から数えて第8営業日から18日までの間 ・前月末日が非営業日の場合第9営業日から18日までの間 |
参照:日本年金機構・国民年金保険料クレジットカード納付に関する約定
とくに4月と10月は、クレジットカードの利用限度額をチェックしながら利用する必要があります。
注意点その3:クレジットカードの引落日に残高不足だと延滞金が発生する
クレジットカードの引落日に銀行口座の残高が不足していると、クレジットカードの延滞金が発生します。クレジットカード会社によりますが、年利14〜29%が上乗せされてしまう点には注意しましょう。
40万円の支払いに対して年利29%の延滞金がかかると仮定すると、1日あたりの延滞金は約318円です。14日延滞すると約4,452円を余計に支払わなければいけません。
引落日に残高不足にならないよう、引落口座へ早めにお金を移動しておいてください。
ちなみに、カード会社が保険料を立替納付する日は4月末日(6か月前納は10月も)なので、5月末から6月上旬ごろが引落日です。この期間はとくに銀行の残高に注意してくださいね。
注意点その4:2年前納するかは次年度の収入を考慮して判断する
国民年金の前納期間を2年にするかは、次年度の収入を考慮して判断しましょう。というのも、所得税が上がるほど節税額が大きくなるからです。
次年度の収入が上がり、所得税率も上がる見込みであれば、次の年に2年前納をしたほうがお得ですよ。
下の表を参考に、2年前納するかどうか検討してみてください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
注意点その5:国民年金前納によるポイント還元率がカード会社で異なる
国民年金の納付で還元されるポイントは、クレジットカード会社によって異なります。
そこで、国民年金を納付したときのポイント還元率を、3社で比較しました。
Orico Card THE POINT | 楽天カード | リクルートカード | |
---|---|---|---|
国民年金納付のポイント還元率 | 1% | 0.2%(通常は1%) | 1.2% |
ポイント対象になる国民年金納付額 | 上限なし | 上限なし | 他の公共料金などと合わせて上限3万円/月 |
ポイント還元率が一番高いのはリクルートカードですが、上限3万円/月の制限があります。他の公共料金も支払っているなら、Orico Card THE POINTがおすすめです。
なお、楽天カードのポイント還元率は通常1%ですが、国民年金のポイント還元率は0.2%です。
このように、国民年金の納付で還元されるポイントが異なる点には注意してください。
クレジットカードで国民年金を前納するメリット3つ

クレジットカードで国民年金を前納するメリットは下記の3つです。
- 納付する手間がいらない
- 手持ちのお金がなくても納付できる
- 多額の現金を持ち歩く必要がない
それぞれ見ていきましょう。
メリットその1:納付する手間がいらない
クレジットカードでの納付を一度登録すれば、二回目以降は自動で納付してくれます。
他の支払方法との手間を比較してみましょう。
納付方法 | コンビニ | 金融機関 | ネットバンキング | クレジットカード・口座振替 |
---|---|---|---|---|
支払い操作 | 毎回手動 | 毎回手動 | 毎回手動 | 自動 |
現金 | 必要(限度30万円) | 不要 | 不要 | 不要 |
ネットバンキングは口座を作らないといけないうえに、納付のたびにスマホを操作しないといけないので、意外に手間がかかります。
クレジットカードなら、自動で納付してくれるので手間がかかりません。
メリットその2:手持ちのお金がなくても納付できる
クレジットカード払いは銀行口座からお金が引き落とされるまで時間差があります。
クレジットカード会社が一時的に立て替えてくれるので、銀行口座からお金が引き落とされるまでの猶予が約1か月あるのです。
支払日にお金が足りなくても、別の口座から移動する時間を稼げます。
メリットその3:金融機関や郵便局に行く必要がない
忙しい毎日を過ごす中で、金融機関や郵便局に行くのは面倒ですよね。混雑していることもあるので、手続きまで長時間待たされる可能性もあります。
クレジットカード払いであればカード会社が代わりに納付してくれるので、無駄な時間や労力を使わなくてすみます。
【簡単】国民年金をクレジットカードで前納する手順4ステップ

国民年金をクレジットカードで前納する手順は以下のとおりです。
- 国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書に必要事項を記入する
※エクセル版はこちら
- 2月末日までに年金事務所へ直接持ち込むか、郵送で届けてもらう
- 数週間待つ
- 手続きが完了した場合「国民年金保険料クレジットカード納付開始(変更)通知書」が届く
※不備があった場合「クレジットカード有効性確認結果のお知らせ」が届く
必要事項を記入して申出書を提出するだけなので、簡単に手続きできますよ。
申し込みの締切日は2月末日までですが、不備があった場合を想定して、早めに手続きをすませてしまいましょう。
まとめ:国民年金はクレジットカードで前納がお得だが注意点あり!

クレジットカードで国民年金を前納すると、割引を受けられるうえに、ポイントも付与されるのでお得です。
「前納」と「クレジットカード納付」を組み合わせたときの割引額と還元されるポイントは、次のとおりです。
6か月前納 | 1年前納 | 2年前納 | |
---|---|---|---|
割引額 (ポイント還元) | ▲810円 (995ポイント) | ▲3,530円 (1,990ポイント) | ▲14,540円 (3,973ポイント) |
※上記はすべて令和4年度の納付額をもとに計算
※国民年金の支払いで1%還元されるクレジットカードで計算
ただし、以下5つの点に注意が必要です。
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これらのポイントを押さえて、国民年金の納付をお得にしましょう。
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